日記


むかしむかし、ある男は青春に憧れていた。
焦がれる程に熱く真剣に、そしてその熱さに
焼かれ続ける鉄板のように真面目な男だった。

男は、自分が他人とは違う病を先天性で患っていた。
重く重く、軽すぎる心の病。
それは疱瘡の如く醜く、その男に近付く人間は
悉くその男から離れ、そして蔑まれた。

男は焦がれた青春や、平穏とはとおくとおく
その幼い日々を全て熱い火の海のように燃え広がる憎悪と幻滅、憤りに焼かれ続けながら一つ一つ
未熟なままに、大人の階段を登っていく
時間は風化した男の心を嘲るように、蔑むように通り過ぎた


男は、独りというモノを愛した。
誰にも抱きしめてもらえないので
誰かを抱きしめる必要もないので

男は自分を抱きしめた
男は孤独を抱きしめた