弟が憎くて憎くてたまらない。
かれこれ10年以上口を利かず
同じ空間で母と三人で暮らしてきた

私が高校卒業したあと、すぐには職が決まらず
毎日病人のように寝ていた時期があって
母が望むような収入を一切果たせずにいた。

ぐうたら過ごす私を弟は「クズ人間」「社会のゴミ」
と、罵り母に家から追い出してもらうよう
何度もせがんでいたことは今も忘れもしない。

殺意が芽生えたのもこの頃だった。
渋谷の兄妹殺人事件はかなり私と酷似していたので
いつ、やらかしても、おかしくないほどだった。


私は母の力を借りて小さなスーパーに
勤められるようにはなった。

母の望む通りに生活費を稼いで、
弟が高校進学できるように稼ぎ柱の穴を埋めるために働いた。
罵倒の言葉は随分減ったが、弟から感謝の言葉を一度も聞いた事がない。

弟は母を道具のようにこき使う。思い通りにならないと「死ね」「消えろ」と、大声で罵っていた。
車が使えるのは母だけだったので通学やバイトの時は言葉の暴力を使って、思い通りにしていた。
私は弟とは一切口を利かずにいたのでただ黙っているしかなかった。

しっかりした父親がいれば弟を黙らせる事が出来たのかもしれない。
離婚したことで思わぬ皺寄せが母を追い詰めていた。
「弟を高卒させて働いてもらう」事が母の望だったので私が助けてあげることは生活費以外何もなかった。

弟は高校卒業したあと就職はせず専門学校へ。
いろんなところから借金をして生活はますます火の車となった。
母は断固として弟を就職させるつもりだったらしいが、いつものように言葉の暴力で責め立てて母を追い込み、思い通りに従わせていた。

私は母とその事でもめた。「弟が高卒して就職するまで辛抱して欲しい」との事だったので約束を破られ裏切られた気持ちでいっぱいだった。

弟は私が手に入らなかったものを沢山持っていた。
元々父親が使っていた部屋と、バイク、彼女、専門学校。
どれもこれもお金のかかるものばかりなのに弟は簡単に手に入れていく。一方、私は親のためにとあらゆるものを我慢してきた。

弟なんて生まれてこなければ良かったのに。