今思えば、昔の私は、ずっと笑っていた。
姉妹喧嘩はするし、恐怖で泣いたりしたことはあったけど、
理不尽なことに対して怒ったり、悲しくてないたりはなかった。

だから、「私」に「過去の自分を忘れるな」と言われた時に、真っ先に思い浮かぶべきは、
あの頃の忘れている自分を思い出せ。ではなく、
あの頃の何もかもを隠していた自分を思い出せ。だったのだろう。
だって、それを伝えてきた「私」は、無表情だったのだから。

そうすれば、家族関係も上手くいくかもしれない。
何もかもを全て隠して、飲み込んで、あの頃みたいに誰も知らないところで自分だけが傷つけばいい。
幸いなことに、私は大声で泣くことができない。
一応出来なくもないが、すぐに無意識に抑えるか、飲み込もうと泣き止んでしまう。
だからきっと大丈夫。感情なんてすぐにコントロールできるようになって、
昔の、過去の自分に戻す。そうしなきゃいけないんだ。

大丈夫。これ以上、外見に傷が増えると気付かれるだろうけど、
心に傷が増えるぐらい、誰も気付かないよ。
どれだけ軋んだって、悲鳴を上げたって、気付く人はいないよ。大丈夫。
だから頑張ろう。
私が動かなきゃ誰も動いてくれないんだ。
変わってくれないんだ。
私が変わればいい。昔に戻ればいい。
頑張れ。私。