今年で37歳になるのですが、仕事でどの道を選んでもろくな事にならないような気がして、生きる事にもうんざりしてきています。

私は図書館で「目録業務」という仕事をしています。
図書館の本をパソコンで検索してくると出てくる本のデータを作ったり調整したりするのが主な仕事で、新しく入荷した本をどのジャンルの棚に置くかを決めて登録する仕事も含みます。
この仕事を始めて、もう10年以上になりますが、正社員として働いた事は一度もなく、派遣会社のスタッフとして働いてきました。
今の現場は、派遣されて7年目です。

専門職なので収入がいいでしょうと、よく言われますが、10年以上、キャリアを重ねても、年収は130万円以下です。
奨学金を返済しつつ、一人暮らしの資金も貯めているので、いつも、お金がありません。
この収入のまま、一人暮らしをしたらどれだけ大変かと思うのですが、両親がいわゆる毒親だと分かった為、早々に逃げ出したくて頑張っています。

低収入な仕事でも続けているのは、この仕事が好きだからです。
幼い頃から本が好きだったのもありますが、図書館カウンターの仕事と違って、パソコンに向かって黙々と続けられる仕事は、人嫌いの私にはありがたいものがあります。
データを綺麗に整え、本を収まるべき所に収める充実感も気に入っています。
できるものなら、長くこの仕事をできたらと、ずっと、思っていました。

けれども、そうも言っていられない状況になってきたんです。
まず、状況を悪くしたのが、今現在、本のデータを作っているデータベースの方針転換です。
今は私のような目録担当者がデータを作ったり調整したりして、それを全国の図書館が共有する格好になっています。
本一タイトルに対してデータは一つなので、その一つしかないデータを丁寧に整えて使ってきました。
ところが、2020年になったら、データ作りをコンピューターに任せ、本一タイトルに対してデータが一つでなくても良い事にするという方針が打ち出されたんです。
そうなると、目録業務に専門性を求める職場は少なくなるのは必然でしょう。
データを作るのはコンピューターの仕事ですし、本一タイトルについていくつもデータがあるのなら、一つのデータを綺麗に整える必然性はありません。
自動でできたデータの中から、良いと思ったものを自分の図書館にダウンロードすればいいだけですからね。
この方針を聞いた時は絶望しましたが、目録業務が好きという気持ちは変わらなかったので、2020年になって「専門家は要りません」と言われてクビになるまでは、仕事を続けようと思ってきました。
けれども、現場の状況の変化で、2020年までいる気分にはなれないんです。

何があったかと言いますと、今の派遣先が人手不足になり、目録担当者はラベル貼り等の仕事も担う事になりました。
ラベル貼りの経験もあるので、大丈夫だろうと思っていたら、今の派遣先の求める水準は、かなり高いんです。
今まで、ラベル貼り等に携わってきたスタッフは、一ミリ単位のずれや傾きに対しても注意をしてくるので、私は謝ってばかりいます。
毎日、同じ仕事をしていれば、ミリ単位の正確さも維持できるでしょうが、私は目録業務もやらなければならないんです。
その結果、上達は遅れ、何度も同じ事を注意される事になります。
最近、注意をしてくるスタッフが私に敬語を使わなくなったので、バカにされていると思って気持ちが滅入ってきました。
このスタッフは目録業務も兼任してるんですが、そっちの腕は素人レベルで、しょっちゅう、私を頼る時にも敬語を使わないので忌々しいです。
忌々しいんですが、元はといえば、私のラベル貼りの腕が悪いせいですし、彼女の方が現場に友人が多く、トラブルになったら現場全体を敵に回しそうなので何も言えません。

扱う業務が増えると、その段取りは話し合いで決定します。
どの作業段階の本が何冊あって、何日ぐらいで終わるだろうから、今日は何人で当たってという話し合いがあるんですが、私はその場で黙っているだけです。
その類の計算が、全くできないからです。
一人で「これだけの冊数なら一日でできる」という計算はできるんですが、現場のあちこちにある状況もバラバラな本の数を把握し、そこに当たるべき人数を計算しようとすると、頭がごちゃごちゃになってしまいます。
それでも、何か発言しないと、「使えない奴」と思われそうなので、頑張って自分の考えを言う事もあるんですが、大概、的外れな計算で、叱られたり笑われたりです。
私は黙々とパソコンに向かっているしか能のない役立たずなんだと思うと、好きな目録業務に当たっていても気分が落ち込み、溜息ばかりついています。

もう、この派遣先から出ていこうかと思うんですが、その先を考えると、落ち込みは大きくなる一方です。
家を出たい私にとって、働く事を前提に考えるのは当然です。
けれども、その働く内容を考えると、どうしたらいいのか分からなくなってきます。
図書館の目録業務の求人を探しても、今より安い時給だったり、現場が遠かったりといった状態です。
カウンター業務を兼ねる現場も多く、接客業の苦手な私には、怖くて応募できません。

そうなると、図書館業務そのものを諦めるという道が出てきますが、その前途も明るいとは思えないんです。
まず、私は、もう、37歳で、人材として新鮮とは言えません。
図書館業務以外に仕事の経験はなく、持っている資格は図書館司書に教員免許、図書館司書教諭、児童福祉主司と、一般企業では必要のないものばかりです。
体力がなくて力仕事はできず、ストレスが溜まると胃腸炎や喘息を起こします。
人付き合いが苦手で、予想外の事ですぐにパニックを起こし、思考回路はネガティブ寄りです。
さらに言えば外見も悪く、添加物ゼロのファンデーションでも顔が痒くなるので化粧もできません。
こんな人材、誰が採用するのでしょう。
ブラック企業でも嫌がるような人材です。
他にやりたい仕事がないわけではなくて、建築業や製造業をやりたいなと思うんですが、私にその資質があるとは思えません。
どこかの工場のラインで、上司にいじめられながら仕事をする未来ぐらいしか浮かんでこないんです。

今の職場に留まるにしても、違う職場を探すにしても、ろくな未来はないのだと思うと、憂鬱になってきます。
こんなろくでもない人生を歩むぐらいなら、死んでしまった方がましかもしれないとさえ、最近は考えています。